吾輩は利根である。名前はまだ無い。
どこのドックで生まれたのか、とんと見当がつかぬ。
ただ、薄暗いまるゆだらけのドックで提督が「資源が…三隈が…矢矧が…」と泣いていたことだけは覚えている。
吾輩はここで初めて提督というものを見た。しかも後で聞くとそれは元帥という提督の中で一番階級が上の者であったそうだ。
この元帥というのはしょっちゅう我々を捕まえて近代化改修の餌にするという話である。
しかしその当時は何という考えも無かったから別段恐ろしいとも悲しいとも思わなかった。
ただ、彼のじとーっとした視線を受けて「じゃああっちの部屋に行ってて」と言われたとき、なんだか悪い事をしてしまったのではと思ったばかりである。
ここまで書いたけど利根が可哀想になってきた
誰か利根が救われる未来を描いて下さい!お願いします!なんでもしすまから!
青空文庫:【夏目漱石】吾輩は猫である
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どこのドックで生まれたのか、とんと見当がつかぬ。
ただ、薄暗いまるゆだらけのドックで提督が「資源が…三隈が…矢矧が…」と泣いていたことだけは覚えている。
吾輩はここで初めて提督というものを見た。しかも後で聞くとそれは元帥という提督の中で一番階級が上の者であったそうだ。
この元帥というのはしょっちゅう我々を捕まえて近代化改修の餌にするという話である。
しかしその当時は何という考えも無かったから別段恐ろしいとも悲しいとも思わなかった。
ただ、彼のじとーっとした視線を受けて「じゃああっちの部屋に行ってて」と言われたとき、なんだか悪い事をしてしまったのではと思ったばかりである。
ここまで書いたけど利根が可哀想になってきた
誰か利根が救われる未来を描いて下さい!お願いします!なんでもしすまから!
青空文庫:【夏目漱石】吾輩は猫である